Japan Association for Medical Informatics

[4-L-1-PP15-2] パーソナル・ヘルス・レコードの管理及びPHRシステムの実装に向けた課題に関する調査

藤原 健太郎1, 土井 俊祐2, 井出 博生1, 竹内 公一1, 島井 健一郎3, 木村 隆3, 藤田 伸輔4, 鈴木 隆弘3 (1.千葉大学医学部附属病院 地域医療連携部, 2.東京大学医学部附属病院 企画情報運営部, 3.千葉大学医学部附属病院 企画情報部, 4.千葉大学予防医学センター)

【目的】健康で質の高い生活を実現するため、パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の活用が検討されている。しかし、生涯にわたるPHRを電子化し、時系列的に管理し、自ら活用することに対する一般人の意向や状況は明らかになっていない。本研究では、住民に対するアンケート調査を実施し、PHRの実現・普及に向けた課題整理を行った。【方法】一般住民向けの講演会参加者1,369名を対象に、会場内での自記式調査票によるアンケート調査を行った(回収率71.9%)。調査項目は、1)基本属性、2)JST版活動能力指標、3)健康状態、4)健康情報の管理状況、5)PHRを管理するシステムの利用希望とした。【結果】対象は、後期高齢者323名、前期高齢者595名、64歳以下61名で、健康状態が良く活動能力が高い者が大半であった。健康情報を管理している者の割合を項目別に見ると、健診・検診の結果91.4%、服薬記録78.6%、血圧記録52.0%、排便記録10.7%であった。血圧及び排便の記録に関しては、後期高齢者で割合が高い傾向が見られた。PHRを管理するシステムについては、70.2%の者が利用してみたいと回答した。ただし、65歳以上の集団では、64歳以下と比較し、利用を希望する割合が低く、その理由として「機器を所有していない(操作できない)」等の意見が出された。また、活動能力が高い集団で利用を希望する者の割合が高くなった。【考察】健康管理に寄与する情報であっても、項目により管理している者の割合に差異があり、住民に管理させるべき情報と住民が管理したい情報の間に相違が見られる。また、利用促進に当たり、年齢や活動能力が影響する可能性が示唆された。今後はPHRで管理すべき健康情報について精査するとともに、住民に対する健康管理に関する教育やインセンティブ付与の実施、機器を利用できない高齢者への対策の検討が必要であると考える。