Japan Association for Medical Informatics

[4-L-1-PP15-3] 地域医療連携システムに共通する課題へのみやぎ医療福祉情報ネットワーク(MMWIN)における取り組み

中山 雅晴, 井戸 敬介, 山田 康貴, 中村 直毅 (東北大学)

地域医療連携ネットワークは医療ICTの活用例として期待され、多くの地域・組織によって構築されてきた。しかしながら事業の継続や実際の活用例の乏しさなど、いくつもの問題が散見される。宮城県では東日本大震災を契機としてみやぎ医療福祉情報ネットワーク(Miyagi Medical and Welfare Information Network: MMWIN)協議会が発足し、全県下における診療情報のバックアップと地域医療介護連携システムが構築された。県内における病院、診療所、薬局、介護施設などの諸施設から情報を厚労省標準保存形式であるStandardized Structured Medical Information eXchange version 2(SS-MIX2)で保存し、その情報を患者同意の下、各職種が権限に基づいて閲覧および共有を可能としている。参加施設は、平成29年5月時点で580を数え、病院は県内施設の過半数、薬局は2割、診療所は1割強の参加がある。当初は、そのバックアップデータ数、情報連携に対する同意患者数等が伸び悩んでいたが、東北大学病院や各2次医療圏の中核となる病院の協力の下、飛躍的な増加を示している(バックアップデータ述べ患者数は約100万人→約700万人、同意患者数も約4000人→約2万5千人。いずれも平成26年度末→平成28年度末における値)。一方で、データ蓄積や同意患者数が増加するに連れ、運用におけるデータの不備、システムの不具合、レスポンス遅延、事務局体制の未熟さ、画像サービスの欠如に対する不満等、設立当初から抱える様々な問題が表面化した。現在、これらの課題を順次解決し、文書連携システムやサブシステムの導入なども加わって、現場における好事例が増えてきている。今年度は、念願であった画像システムの導入を始め、構築後5年を経てのリプレース等、複数の機能改善および大規模なシステム更改を行う。さらに、根本的な問題である持続可能な地域医療連携システムとしての自立経営に向けた取り組みも行っていく。