Japan Association for Medical Informatics

[4-L-1-PP15-6] FAXと病院情報システムの接続による地域医療連携の改善

藤田 健一郎, 福嶋 実, 岡本 和也, 黒田 知宏 (京都大学医学部附属病院)

地域医療連携の強化は、地域医療においても個別の医療機関においても重要であり、紹介状の電子化を含む地域医療連携システムの構築が推進されているが、その普及にはある程度の時間を要すると考えられる。従って、地域医療連携システムが広く普及するまでの間、既存の地域連携業務をICTで支援することには、一定の意義があると考えられる。
従来、地域医療連携における通信手段としてFAXが広く用いられてきたが、手作業による作業負荷、返信時の誤送信、実績の可視化が困難であるなどの問題が生じていた。そのため、モデムを用いてFAXと病院情報システムを接続するファインデックス社の「FAXde地域連携」(以下、「連携システム」という)を導入し、上の課題の解消を試みた。
連携システムはモデムを介して紹介元医療機関からのFAXを受信し、PDF形式で保存する。担当者は受信FAXリストから内容を確認し、患者IDの発番および予約の取得を行う。取得された予約情報は受信画像に紐付けられ、紹介元医療機関に対してFAXにて定型的な礼状や予約情報を送信する。
連携システムの導入により、従来と比べてFAX受信から予約情報の送信までの時間を2/3に短縮することができた。これにより、紹介先医療機関の予約業務効率化だけでなく、紹介元医療機関及び患者の待ち時間も短縮され、満足度の向上や紹介件数の向上につながる可能性がある。また、誤送信の防止および実績の可視化も実現できていることが確かめられた。
FAXは医療機関に広く普及している。また、紹介元医療機関の業務手順を変更する必要が無いため、接続に際して医療機関間の調整を要しない。FAXと病院情報システムの接続は、地域医療連携システムが広く普及するまでの間、低コストで地域連携を支援・強化する手段として有効であると考えられる。