Japan Association for Medical Informatics

[2-B-2-1] クラウド型EHR高度化の成果と課題について

増原 知宏 (総務省)

 EHRは、住み慣れた地域で安心して質の高い医療サービスを受けながら生活していけるような社会の実現に向けた、地域における医療機関等の間で必要な情報連携を促進すべく、厚生労働省の地域医療総合確保基金等の活用により、これまで全国で270箇所以上整備されている。
 他方、特に初期にEHRを導入した地域は、高額な導入・運用費用がかかる一方で、独自仕様による広域連携の困難さや地域診療所からの中核病院の情報参照専用といった機能の制約、同意取得の煩雑さによる参加施設・患者数の伸び悩み等の課題を抱えており、設備の更改時期を迎え更なる投資が求められる一方、継続的な運用や利用者拡大の見通しが立てられない状況にある。
 各地のEHRのシステム資産を有効活用しつつ、クラウド技術の活用により地域の医療機関、介護事業者等の双方向の情報連携や異なる地域の医療情報ネットワーク間の接続・情報連携、蓄積された診療情報の二次利用を可能とするEHRの高度化を支援することで、効果的な地域包括ケアや地域を越えた広域の医療情報連携の全国への普及展開へ寄与することを目的として、総務省は、平成28年度補正予算において、クラウド型EHR高度化に対する補助事業を行った。参加患者数の確保や双方向の情報連携等を要件にして、二次医療圏、複数の二次医療圏、三次医療圏それぞれのレベルから、全国16カ所の事業体が、本補助事業に基づいてクラウド型EHRの高度化に取り組んだ。
 本シンポジウムにおいては、当該事業のとりまとめ結果を元に、クラウド型EHR高度化において実現された成果や今後の課題等について発表する。