Japan Association for Medical Informatics

[2-B-2-5] みやぎ医療福祉情報ネットワーク(MMWIN)における進捗と展望

中山 雅晴 (東北大学)

東日本大震災を契機に、災害時のための診療情報のバックアップと平時における患者情報共有とを目的としてみやぎ医療福祉情報ネットワーク(Miyagi Medical and Welfare Information Network : MMWIN)が設立された。平成24年に構築を開始し、3年間で全県構築が終了した。当初は患者登録数の伸び悩みや活用に乏しいことが指摘されていたが、立て直しをはかり、少しずつ状況は改善した。平成29年度にはEHR高度化事業のモデル3(全県型)として採択され、システムリプレースとともに対応した。進捗をEHR高度化事業の必須要件に従い記載する。
1) 人口の2.5%以上の登録患者数----主だった病院においてリクルートブース設置などを行うことで同意患者数は58,000人を超え、宮城県民230万人の2.5%を超えるオプトインが得られた。
2) 標準準拠・既存資産の有効活用情報・双方向の情報連携80%以上・電子カルテ非依存・医介情報統合・リプレース対応の柔軟性・施設追加対応の柔軟性----厚労省標準規格SS-MIX2を用いた情報連携システムであり、過去の構築と矛盾することなく施設を拡充し、医療介護連携を実現している。病院においては電子カルテや部門システムから、診療所からは電子カルテまたはレセコン、薬局からは調剤システム、介護施からは介護システムまたは文書連携システムなど、それぞれのSS-MIX2アップロードにより全体施設の80%超で情報を提供している。
3) データ利活用・柔軟なアクセス権限制御・名寄せの省力化・既存ネットワークとのデータ連携・セキュリティ対策----職種によるアクセス権限を定め、患者自身も閲覧施設を決めることができる。氏名や生年月日、保険者番号等を用いた自動名寄せを搭載。証跡管理システムによりデータの質を担保し、データ活用に対応している。さらに、倫理委員会や個人情報保護委員会を開催し、専門の弁護士の指導のもと運用を定めている。他県とのネットワーク連携は可能、セキュリティはガイドライン準拠に加えシステム監査機能の強化を行っている。