Japan Association for Medical Informatics

[2-C-2-3] 日本薬剤疫学会「日本における傷病名を中心とするレセプト情報から得られる指標のバリデーションに関するタスクフォース」による報告書について

小出 大介 (東京大学大学院医学系研究科 生物統計情報学講座)

 2012年に国から公表された「医薬品リスク管理計画指針について」の中では、安全性監視活動において医療情報データベースの利用可能性について言及があり、また、2017年に改正されたGPSP省令によって医薬品の再審査及び再評価の申請資料として医療情報データベースの利用が認められるようになった。
日本薬剤疫学会では、2012年の指針に関連し、日本語/英語版の「より良いPharmacovigilance Plan策定に向けての提言」を発表し、その中でも「データベース研究は安全対策の意思決定につながるエビデンスを与えることもありうるが、アウトカムなどに関する指標のバリデーションが不十分であるか、他のデータ源との連結が困難で、医療機関内の元データにもどっての確認ができない場合には次のアクション(Primary Data Collectionを含む)を行うべきかを判断するためのスクリーニングの役割にとどまるだろう」との言及があり、アウトカムなどに関する指標のバリデーションスタディの重要性が強調された。
 この提言に沿って、日本薬剤疫学会では「日本における傷病名を中心とするレセプト情報から得られる指標のバリデーションに関するタスクフォース」を産官学のメンバー14名で2016年に立ち上げ、日本・海外において実施されてきたアウトカムなどに関するバリデーション研究及び関連するガイドライン・教科書をレビューし、日本において実施可能なバリデーション研究の手順・問題点・将来的な課題を明確にすることを目標に活動を実施し、2018年5月23日に報告書を日本薬剤疫学会のwebサイトに公開した。本企画セッションではこのタスクフォースの報告書を踏まえ、レセプト等の情報から得られるアウトカム指標のバリデーションの意義や基本的な考え方について解説をする。