[2-E-1-3] 看護師における電子カルテのユーザビリティの課題の検討
看護師が抱える電子カルテのユーザーモデルを明らかにするため,電子カルテのイメージおよびユーザビリティに関するアンケートをインターネット調査にて行った.調査協力を得ることができた20~60代の看護師500名の中には,電子カルテの導入や開発に携わったことがあるものも見られた.電子カルテのイメージとして”便利”,使いやすい”などの意見が見られ,System Usability Scaleにおいても,「容易に使えると思った」という項目では”そう思う”が221件,「扱いにくいと感じた」という項目については”どちらでもない”が180件,次いで”あまりそう思わない”とが165件と多かった.これらのことから電子カルテに関しては比較的容易に使えるが,扱いにくさは比較的少ないといえる.また,”情報共有しやすい”というイメージも多く,パソコンなどデバイスさえあれば同時にカルテの確認ができるという電子カルテによって実現できたことも意見としてみられた.しかしその一方で,”停電時が困る”,”停電,災害などのトラブルに弱い”などのイメージもみられた.また,”パソコンの台数が足りないため,見たいときに見られない”,”エラー時の対応に時間がかかる”など電子カルテのユーザビリティというよりも、医療現場が抱えるハード面に関する問題点を指摘する回答も見られた.電子カルテは情報収集を行うツールの一つでもあるためWeb Usability Scaleを用いて情報収集の行いやすさについても調査を行った結果,「正しく表示されないことがある」,「表示が遅くなったり,途中で止まってしまうことがある」という項目で”そう思う”という意見が多く見られた.これらのことから、看護師が持っている電子カルテのイメージの一つである”情報共有のしやすさ”が、実際には情報が正しく表示されないことや表示が遅くなることなどによってユーザビリティの問題を招いている可能性も考えられる.