Japan Association for Medical Informatics

[2-E-2-4] ICTを使った地域医療情報ネットワークの運用継続性 ~うすき石仏ねっとの挑戦~

舛友 一洋 (臼杵市医師会立 コスモス病院 副院長:大分 うすき石仏ネット)

 「うすき石仏ねっと」は臼杵市医師会が中心となって始めた大分県臼杵市内の医療-介護機関を結ぶ情報ネットワークです。人口4万人を切った臼杵市の小さなネットワークですが、既に18,500枚以上の「石仏カード(フェリカカード)」を発行しています。様々な機関から集められた情報は、同意者(カード保持者)が、石仏カードを提示することで、閲覧可能となります。
「うすき石仏ねっと」には、病院、医科診療所、歯科診療所、調剤薬局、訪問看護ステーションなどの医療機関は言うにおよばず、居宅事業所、介護老人施設、介護福祉施設などの介護系機関さらには地域包括支援センター、臼杵消防署、臼杵市役所、大分県中部保健所などの公的機関も参加しています。
「うすき石仏ねっと」は参加機関の多様さ、参加率の高さや機能の豊富さのみならず、以下の点でも評価されています。
1、市民、患者の参加率
2、同意の在り方、データ閲覧許可の仕組み
3、システムを継続するための行政との協働
4、データ利活用による医療費削減
5、救急医療や災害対策へのデータ利活用可能
我々は平成29年度、総務省のクラウド型EHR高度化事業を活用し、臼杵市外の病院との連携、子育て支援アプリとの連携(ワクチン接種記録や小児健診データ共有)および在宅医療・介護連携アプリとの連携の仕組みを新たに構築しました。今回の事業により我々は市外の医療機関と情報共有する仕組みと「うすき石仏ねっと」の中の情報をアプリで閲覧できる仕組みを確立しまた。今回の事業のように新たな仕組みの確立には補助金を活用してきました。しかし、平成27年4月「うすき石仏ねっと運営協議会」が発足してからは、医師会の地域貢献費だけではなく、行政(臼杵市)から負担金の拠出および参加施設からの利用料により継続して運営できる体制が確立されています。
ICTを使った地域医療情報ネットワークが継続していくためには、10年以上先にも継続可能なシステムであることを考え続けていくことが大切と思われます。