[2-G-3-2] Web APIの構築による電子カルテ情報の取得と利用の効率化の試み
1.背景と目的 近年、多くのサービスやアプリケーションにおいて、それらの機能を外部から利用する際にWeb APIが用いられている。Web APIは汎用的なHTTPプロトコルによってリクエストした結果をJSONなどの処理しやすい形のレスポンスデータとして返すことにより、柔軟なデータ処理を可能としている。近年はWeb APIを機能として持つ電子カルテも増えてきているが、当院の電子カルテには実装されていないため、独自のWeb APIの構築を試みた。2.方法 WebサーバーにWindows Server 2012 R2、プログラミング言語にPHPを用いてWeb APIを構築した。Webサーバー上のPHPプログラムはODBC(Open Database Connectivity)により電子カルテのレプリカデータベースにアクセスし、取得したデータは一定のフォーマットのJSON形式で返却する仕様とした。またセキュリティを考慮し、通信をHTTPSに限定するとともにデータの取得にはパスワードが必要とされるようにした。3. 結果 電子カルテネットワーク上の機器から、単純なHTTPリクエストによって電子カルテ情報を取得することが可能となった。これを利用し、内製のWebアプリケーションシステムが電子カルテから患者の氏名や生年月日等の基本情報を取得する機能や、治験中の患者の入退院履歴を監視して予定外の入院時にアラートを出すなどの機能が実装できた。4.考察と結論 Web APIの実装により、APIで利用可能なデータの範囲であればプログラムからの直接利用が可能となり、特に電子カルテを利用する医療機関が独自のデータ処理を行いたい場合に有用である。また、今回は独自仕様のWeb APIを構築したが、電子カルテのベンダーに依存しない共通規格のWeb APIが存在すれば、同じプログラムを電子カルテの種類によらず適応することができ、公共の利益にも寄与するものと考えられる。