Japan Association for Medical Informatics

[2-G-3-5] オーダ改版履歴を用いた指示変更の量に影響する因子の探索

下川 忠弘, 竹村 匡正 (兵庫県立大学大学院 応用情報科学研究科)

【背景】電子カルテシステムやオーダエントリシステムが導入された医療機関では、医師がそれらシステムを用いてオーダ入力を行うことで、他職種に対して指示を出すことに繋がる。したがって、オーダ入力の修正や削除は他職種、特に指示受けを担う看護師に対する指示の変更や取消と同義であり、それら件数の大小が看護師の業務量にしばしば影響を与えることとなる。そのため、業務量に限った視点において、オーダ入力の修正や削除は極力少ない方が望ましく、業務量を削減する場合に、オーダ入力の修正や削除の件数に影響する因子を明確にする必要がある。【目的】システムが所持するオーダ改版履歴のデータ項目から、有意差のある項目を探索することによって、それら指示変更の量に影響する因子を見つけ出し、その因子がコントロール可能なものか否かであることにより、業務量削減や業務改善に資することを目的とする。【方法】オーダ改版履歴から、オーダ種別やオーダ発行時間帯、オーダ医師など、修正や削除の量と関連すると考えられるデータを抽出する。抽出したデータの項目が取りうる値ごとに件数を集計し、取りうる値の違いによって有意差があるかどうか検定を行い、有意差が認められた項目を指示変更の量に影響する因子とみなす。【結果・考察】発行されたオーダの時間帯ごとに、発行されたオーダに対する削除されたオーダの割合を算出し、オーダ発行時間帯を夜間帯と日中帯とに分けた場合に、深夜帯に発行されたオーダは、日中帯に発行されたオーダと比較して、削除されたオーダ件数が有意に多いことが明らかとなった。従って、深夜帯には必要以上のオーダ入力を行わないことが、結果として業務量の削減に影響を与えると考えられる。深夜帯は看護師の数が少ない状況で、オーダの削除件数が減少することにより、業務量を削減することに繋がると考えられる。