Japan Association for Medical Informatics

[2-H-1-5] 医療機関におけるソーシャルメディアの利用実態調査

菅原 祐也1, 村上 正泰2, 成松 宏人3 (1.山形大学医学部メディカルサイエンス推進研究所情報基盤センター, 2.山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座, 3.神奈川県立がんセンター)

【背景】FacebookやTwitterといったソーシャルメディア(以下,SM)は,コミュニケーションのツールとして社会で広く利用されている。医療分野でもSMは利用されており,感染症の流行の確認やある疾患の患者コミュニティの交流ツールなどに利用されている。海外の医療機関ではSMが広報の手段として多く用いられており,米国の医療機関の94.41%がFacebookを利用していることが示されている。しかし,日本の医療機関についてはSMの利用実態が明らかとなっていない。【目的】日本の医療機関におけるSM(FacebookおよびTwitter)の利用率を調査すること。【方法】調査の対象は,厚生労働省発表の保険医療機関一覧(医科,歯科)に収載されている医療機関とYahoo!ヘルスケアに掲載されている美容医療機関とした。また,FacebookおよびTwitterを調査対象のSMとした。保険医療機関一覧と美容医療機関を混合し,病院と診療所それぞれ300の医療機関を無作為に抽出した。検索エンジンとSMの検索機能を用いて,抽出された医療機関のSMアカウントが存在するか調べた。SMアカウントの有無とその医療機関の属性(病床数,設置者,診療科等)についてロジスティック回帰分析を行った。【結果】病院のFacebook,Twitter利用率はそれぞれ,24.33%(73/300),4.33%(13/300)であった。診療所のFacebook,Twitter利用率はそれぞれ,6.33%(19/300),3.67%(11/300),であった。病院で26.00%(78/300),診療所で7.67%(23/300)の医療機関がFacebookかTwitterのいずれか,または両方のSMを利用していた。SMアカウントの有無に関して,病院では病床数に有意差を認め(p<.001),診療所ではWebページの有無に有意差を認めた(p<.001)。【結論】日本の医療機関におけるSMの利用率は海外と比較して少ない。