Japan Association for Medical Informatics

[2-H-2-4] レセプト情報等データベースの利活用により作成した国際統計報告に関する検討

満武 巨裕1, 酒井 未知1, 佐藤 淳平2, 合田 和生2, 喜連川 優2 (1.医療経済研究機構, 2.東京大学 生産技術研究所)

我が国はこれまで、比較的少ない総医療費で質の高い医療サービスを提供していると国際機関から評価されてきた。しかし、日本が提出している保健医療分野の国際統計報告数は、OECD加盟国と比較すると少ない状況が続いている。一方、「電子行政オープンデータ戦略(内閣官房IT 総合戦略本部)」においては、OECD(経済協力開発機構)をはじめとする国際機関や欧米諸国の動向も踏まえ、日本政府が保有する公共データ推進という基本的な方向性が打ち出された。翌年の「日本再興戦略-Japan is Back」では、レセプト情報等データベース(NDB)の積極的活用等を図るとされ、5年が経過した状況にある。一昨年からはNDB オープンデータの公開もはじまり、集計表の種類も増加傾向にある。約一億人を超えるほぼ全国民の医療レセプトを有するNDBは、2020年度を目標に議論が開始された介護レセプトとの連結が実現すれば、悉皆性とデータ項目の多様性の観点からも世界トップクラスのビッグデータとなり、データ利活用の環境が整いつつある状況にあるといえる。 今回、日本が未提出の国際統計項目を調査・把握し、NDBを活用することにより作成できた新たな国際統計報告とその国際比較の結果について報告する。結果、日本は諸外国に比べ、2014年の対10万人あたりの画像診断機器の施行件数は、PET389件(7位)、CT 22,014件(3位)、MRI 10,960件(4位)と上位であった。また、対象とする20種類の手術に関しては、白内障手術の対10万人あたりの施行件数が1,301件(1位)と上位であったが、その他の5種類が中位、13種類が低位であった。 新たな国際統計報告は、世界保健機関に加盟する多くの発展途上国へ波及効果に加え、我が国の政策形成過程におけるエビデンスとしての活用も期待できる。本研究では、NDBの将来的な利活用も想定し、超高齢社会に突入した我が国に重要だと考えられる国際統計項目についてまとめと課題について述べる。