Japan Association for Medical Informatics

[2-H-2-5] レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に対する死亡決定ロジックの手法開発―R言語による決定木分析を用いて―

久保 慎一郎1,2, 野田 龍也1, 西岡 祐一1,3, 明神 大也1,4, 降籏 志おり5, 東野 恒之6, 瀬楽 丈夫5, 今村 知明1 (1.奈良県立医科大学 公衆衛生学講座, 2.奈良県立医科大学附属病院 看護部, 3.奈良県立医科大学 糖尿病学講座, 4.奈良県立医科大学 病理診断学講座, 5.(株)三菱総合研究所 ヘルスケア・ウェルネス事業本部, 6.(株)三菱総合研究所 経営イノベーション本部)

【目的】レセプト情報・特定健診等情報データベース(以下,NDB)とは、日本の保険診療の悉皆データである。NDBには、死亡した患者のレセプトの「転帰区分」に死亡フラグが付与されるが、医療機関の付与忘れや付与間違い等によってすべての患者が正確とはいえなかった。診療行為や薬剤等から死亡を推定することで死亡転帰の有効性を高めることを目的とした。【方法】4年分の奈良県KDBレセプトと3年分のNDBレセプトを用いた。はじめに、KDBの保険者マスターに記載されている死亡転帰を教師データとし、KDBの死亡転帰の正解率や必要となる決定木の診療行為を洗い出した。分析にはR言語による決定木分析を用いた。その仕組みを用いてNDBでも検証し、その有効性を検証した。死亡数を人口統計と比較した。【結果】KDBでの死亡フラグの陽性的中率は96.2%であった。決定木として用いられる診療行為は看取りに関連するコード、呼吸心拍監視に関連するコード、酸素が多かった。決定木より枝分かれした患者を基に的中率が83%以上確保できている場合を死亡決定とし、死亡フラグを付与した。感度・特異度を集計すると感度が92.9%、特異度が99.7%となった。これらをNDBのデータを用いて同様のロジックを抽出したが、ほぼ同様の傾向を示した。【結論】KDBを教師データとしてNDBの死亡フラグを策定した。現状ではそのすべての死亡を完全に追うことはできないが、死亡したアウトカムを正確に付与できればNDBで日本のコホート研究が大きく前進する。