Japan Association for Medical Informatics

[2-I-3-5] 多施設臨床研究に適用可能なサンプル管理システムの開発

真鍋 史朗1, 武田 理宏1, 白月 遼2, 前田 大地3, 谷内田 真一4, 松村 泰志1 (1.大阪大学大学院医学系研究科 医療情報学, 2.大阪大学医学部附属病院 がんゲノム医療センター, 3.大阪大学大学院医学系研究科 先端ゲノム医療学, 4.大阪大学大学院医学系研究科 がんゲノム情報学)

患者から臨床検体(サンプル)を取得し、解析を行う臨床研究では、患者IDを匿名化した臨床サンプルIDを用いて研究を行う必要がある。中でも、ヒトゲノム・遺伝子解析研究は、より厳密な匿名化の管理が求められ、被験者ID・臨床サンプルIDを二重匿名化した遺伝子サンプルIDを用いて研究を行う必要がある。我々は大阪府下の医療機関で、電子カルテと連携したCDCSという多施設臨床研究データ収集システムを開発・運用している。このシステムでは、患者IDに対応する被検者IDが発行され、臨床情報を管理している。被検者IDと臨床サンプルID、遺伝子サンプルIDを管理するシステムが存在すれば、研究者が患者IDを知ることなく、臨床情報を取得することが可能となる。そこで、我々は医療機関の電子カルテシステムやCDCSと連携し、臨床サンプルID、遺伝子サンプルIDを発番し、発番したIDをラベル印刷することができるサンプル情報管理システムを開発した。本システムは各医療機関でオーダ発行時や検体登録時に臨床サンプルIDを発番し、患者IDとの対応表を保持するサイトサーバと、研究施設で臨床サンプルIDから遺伝子サンプルIDを発番し、臨床サンプルIDと遺伝子サンプルIDの対応表を管理するセンターサーバで構築される。サイトサーバでは患者IDとCDCSで発番される被検者IDとの対応表を取り込むことで、臨床サンプルIDと被検者IDの対応表をセンターサーバに送ることを可能とした。センターサーバでは、遺伝子研究者が遺伝子サンプルIDを用いて臨床研究者に問い合わせを行うと、システムが被検者IDに変換し臨床研究者に問い合わせを提示し、臨床研究者が被検者IDを用いて遺伝子研究者に問いあわせを行った場合は、システムが遺伝子サンプルIDに変換し遺伝子研究者に問い合わせを提示することを可能とした。これらの機能により、臨床データとサンプルの解析データを、個人識別情報を見ることなく、紐づけることが可能になった。