[2-J-2-1] 特定健診データに基づくメタボリック症候群への生活習慣の影響因子分析
目的:平成20年4月からメタボ症候群を予防するため, 特定健診が実施されている. 毎年蓄積されていく大規模な特定健診データを駆使した, 有効なメタボマネジメントの取り組みが期待されているが, 特定健診質問データとメタボ症候群との関連性を分析した報告はあまり見当たらない. 本研究では, 特定健診質問データを用いて, 生活習慣が健康状態に影響を及ぼし検査結果として表れるまでのタイムラグについて分析し, メタボと生活習慣因子の関係性について検討する.方法:特定健診が先行的に開始された両年(H18, H19)に受診した男性5,423名の検査・質問票データに対して, 階層化, 質問票データの数値化, 生活習慣因子の抽出を行う. 質問票データと検査結果のタイムラグを評価するため, 階層化での積極的支援・動機づけ支援該当者をメタボ群, 情報提供・対象外該当者を非メタボ群として2群に大別する. これらの生活習慣の質問票データに対して, 経年(H18質問票データ(Q18)とH19検査結果(T19)),同年(Q19とT19),逆年(Q19とT18)の各組み合わせで2群間の有意差検定を行い, 有意差の高い(p<0.01)項目に対しては生活習慣因子との関連性を確認し, 比較検討を行う.結果:同年と逆年に比べて,経年において2群間で有意差の高い質問項目数が一番多く抽出され, 質問回答による生活習慣の状況と検査によるメタボ状況との関連性が高いことが確認された. また,それらの質問項目は, 日常の運動量, 余暇の運動, 塩分と脂肪分の摂取, 規則正しい食習慣という生活習慣因子を構成していることがわかった.考察:上記結果からは, 不適切な運動習慣, 栄養バランス, 食習慣がメタボ症候群に繋がることが示唆された. また, 特定保健指導に際しては, 今回判明したタイムラグの存在に配慮し, メタボ予防対策に臨むことが肝要である.これらを踏まえ,更に,メタボ群と非メタボ群間の推移を左右する生活習慣ファクタについて分析を進めている.