[2-J-2-4] 健康施策の推進のための地方自治体の疾病構造の将来推計計算ツール開発の試み
【目的】これまでに、健康日本21(第2次)で示されているリスク因子の改善による死因別年齢調整死亡率の低下に伴って、長期的に生じる死因別死亡数の状況の変化や平均寿命の延伸などについて、全国の疾患別の推計を行った先行研究がある。本研究では全国の疾病構造の将来推計に関する先行研究をもとに、都道府県別の疾病構造の将来推計計算ツールを開発することを目的とした。【方法】生命表の「特定死因を除去した場合の平均寿命の延び」の計算原理を応用して、リスク因子の改善により死因別年齢調整死亡率が低下した場合の、平均寿命の延び等について全国の将来推計を行った先行研究を応用した。都道府県毎に、健康日本21(第2次)の目標を例として、2010年を基準年とし、性別で、疾患別(脳血管疾患、虚血性心疾患、悪性新生物、その他)の死亡数等の将来予測を4つの場合 (2022年(現状維持)、2022年(目標達成)、2050年(現状維持)、2050年(目標達成)) で比較した。【結果】本研究で開発した疾病構造の将来推計計算ツールでは、コントロールパネル上の疾患番号を選択することで、それに対応した疾患の年齢別死亡数が容易に推計できるようになった。また、必要に応じて、リスク因子の改善を、血圧等の連続変数の場合は平均値で、喫煙率等のカテゴリー変数の場合は割合で「目標」の値を設定すると、2010~2050年までの死因別死亡数、人口、平均寿命の変化が都道府県別に容易に推計できるようになった。【結論】健康日本21(第2次)の目標を例とした都道府県毎の疾病構造の将来推計計算ツールを開発した。本研究は、厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 人口構成、社会経済状況、生活習慣の変化を考慮した疾病構造と経済的負担の将来予測(H25-循環器等(生習)-一般-002) (研究代表者:井上真奈美)の補助を受けて行われた。