[2-J-3-3] 電子カルテ情報を利用した病棟薬剤業務支援ツール「病棟患者一覧」の評価
【背景】2016年7月に院外処方化を行い、同10月に患者移動情報をもとに病棟毎の患者情報を院内web上で一覧できるシステムを構築した。【目的】病棟薬剤業務の効率化をはかるため、データウェアハウスや部門システム連携機能を活用した「病棟患者一覧」システムを構築し、その効果を確認する。【方法】病棟薬剤師は、毎日の業務前に患者一覧で情報を把握してから業務を行うこととする。システムは以下の機能を実装する。・服薬指導対象患者のアイコン表示、薬剤情報提供書とお薬手帳の印刷・持参薬報告未登録患者のアイコン表示・使用済麻薬の返却状況表示と確認済入力・患者プロファイル薬剤アレルギー登録状況のアイコン表示・腎機能低下や透析中患者のアイコン表示および処方箋への腎機能検査結果印字評価項目は以下とする。1.薬剤師数と月別の平均時間外2.入院患者の服薬指導の診療録記載率3.入院患者の持参薬鑑別実施割合4.使用済麻薬(内服と外用)の廃棄インシデント数5.成分コードによる薬剤アレルギー登録割合6.疑義照会割合評価は2016年と2017年で行い、1-3は院内処方であった2016年1-6月を除外して算出した。5-6はシステム改修を挟み2017年と2018年を比較した。【結果】薬剤師数は52名から51名になった。時間外業務は月平均590時間から572時間に減った。服薬指導の診療録記載率は82.9%から84.6%、うち退院時服薬指導が占める割合は6.0%から14.8%に、持参薬報告割合は65.7%から 69.4%に増えた。内服/外用麻薬のインシデントは6件から1件に減少した。薬剤アレルギー登録割合は2018年末に95%を越えた。疑義照会割合は処方が1.57%から1.64%、注射は0.10%から0.19%に増えた。【考察】服薬指導実施率の増加は、退院時服薬指導の伸びが大きく、病棟で薬剤情報提供書やお薬手帳を印刷できるようになったことによると思われる。