Japan Association for Medical Informatics

[2-J-3-4] 電子カルテパッケージに実装された投薬後検査実施確認機能の導入と効果

鵜飼 和宏, 牧原 明秀, 木下 元一 (名古屋第二赤十字病院薬剤部)

【背景】医薬品には添付文書で定期的な検査を義務づけているものが多い。しかし、行うべき検査が長期にわたり実施されず、副作用が重篤化し、副作用救済制度で不支給となる事例もある。当院では電子カルテのバージョンアップにより、薬剤オーダー登録時にあらかじめ指定した期間内に行われた検査の実施確認が可能となった。2017年5月に導入した本機能の効果を報告する。【目的】本機能の導入を行い、医薬品の添付文書に明記されている検体検査の実施率を、本機能の導入前後で比較する。【方法】本機能で設定された薬剤は、オーダー時に設定期間内(例:1ヶ月に1回の場合は30日)に対象となる検査が無い場合にはワーニングが表示される。対象薬剤は「添付文書に検査項目と期間が明記されている薬剤」「過去にブルーレターで注意喚起された薬剤」とし、内服薬34品目、注射薬15品目とした。検査項目、期間は添付文書に準じて設定した。前後6ヶ月で、対象薬剤オーダーに対して必須検査結果が設定期間内に登録されていれば実施、なければ未実施として集計し、検査の実施率を算出した。入院中は処方回数、検査回数が頻回となる傾向があるため、外来オーダーのみを集計の対象とした。【結果】導入前後で、対象薬剤全品目の検査実施率は84.1%(6306回実施/7500回オーダー)から92.5%(7086回実施/7659回オーダー)へ増加した。導入後の実施率は17品目が増加、7品目が減少した。6品目が100%で不変で、うち4品目は抗悪性腫瘍剤だった。【考察】多くの薬剤で実施率が増加し、対象薬剤全品目の検査実施率も増加したのは、今回導入した機能による効果と考えている。本機能の導入前から、必要な検査は概ね実施されており、抗悪性腫瘍剤ではもともと実施率が高かったことも分かった。薬剤によっては実施率が減少したものがあり、対象薬剤を長期に使用し安全と判断された患者での検査頻度の減少が要因と考えている。