[2-K-2-3] 教育担当事務による医師に対する電子カルテ操作研修の4年間の評価
(背景)総合病院情報システム(以下電子カルテ)は多くの急性期病院に導入され、医療の質向上や業務効率化に貢献するが、実際はシステム化を前提とする運用を踏まえた操作方法を熟知していなければその潜在能力を充分に発揮できないばかりか医療安全上も危険である。長崎大学病院では2014年4月より、電子カルテの教育を専任とする事務職員2名を雇用し、入職医師(医科)全員に電子カルテ操作研修を実施している。これまでの取り組みとアンケート結果に基づく改善について報告する。(方法)研修は入職当日に35名収容の研修室にて操作実習形式にて180分間実施している。内容は電子クリティカルパスを含む全オーダの入力操作と運用説明であり、2014年6月から2018年5月まで実施した研修終了後に行ったアンケートの集計結果を研修の評価とした。(結果)2018年3月までの4年間の医師の平均研修受講率は95.9%、研修内容に関しては「十分~概ね理解できた」が90.7%、満足度については「非常~満足できた」が81.2%という高い評価を得ている一方、「やや~不満」と回答した10.4%の医師の多くが当院の勤務経験がある中途医師であり、「研修時間が長い」との意見が多かった。このため2018年4月より勤務歴がある医師には演習問題を用いた自己学習方式に変更することで、研修時間を60分短縮した結果、昨年度よりも満足度は12%上昇、不満度は42%低下した。(考察と結論)医師の異動が極めて多い大学病院では、全入職医師へ医師が確実に電子カルテ研修を行うことは容易ではない。当院では適切な運用と正しい操作を熟知した事務職員による研修を実施した結果、4年間における受講率は95.9%とほぼ全ての入職医師への研修が実現し、さらに操作経験に配慮した研修に改善したことで、満足度は昨年度よりも12%上昇、不満度は42%低下とさらに高い評価を得ることができた。今後は研修による教育の効果について検証していく必要がある。