Japan Association for Medical Informatics

[2-K-3-2] 次世代眼科医療を目指す、ICT/人工知能を活用した画像等データベースの基盤構築プロジェクト、平成29年度システム構築報告

長谷川 高志1, 柏木 賢治2, 三宅 正裕3, 坂本 泰二4, 大鹿 哲郎5, 福重 秀文6, 井上 仁7, 宇津木 仁8 (1.日本遠隔医療協会, 2.山梨大学, 3.京都大学, 4.鹿児島大学, 5.筑波大学, 6.インフォコム株式会社, 7.株式会社デジタルコア, 8.株式会社B.b.design)

1.背景と目的日本眼科学会では日本医療研究開発機構の臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業に採択され、平成29年度10月より人工知能による分析向け眼科画像データベース構築を開始した。本研究では21大学が参加して、SINET上に設けた日本眼科学会画像データベースに各大学からの眼底写真を集積して、研究分担施設の国立情報学研究所に送り、深層学習による分析を行う。画像は日常診療で継続的に収集・分析するため、各大学眼科と日本眼科学会データベース、国立情報学研究所をオンラインで接続する。各大学と接続し、人工知能で分析する全国レベルの巨大データ収集システム構築は初めての経験であり、様々な課題に遭遇している。構築第一年目の状況を報告する。2.方法① 各大学の眼科部門電子カルテシステムから画像および付帯情報を抽出して、SINETに送るゲートウェイシステムとそのデータを受信、蓄積するデータベースを設計した。② 患者画像を院外機関での人工知能による分析について、各大学の倫理審査を行った。3.結果① システム構築プロジェクトを日本眼科学会内に設けて、各大学の医療情報部に訪問し、画像情報送出に関する調整を続けている。報告時点で参加大学の半数ほどで進行している。② ゲートウェイシステムを設計して、システム構築のモデル大学でSINETへの接続試験を行った。③ 日本眼科学会IRBにて共通的審査を行った。その研究計画を元に各大学でIRB審査を受けて、報告時に半数ほどの大学で許可を得た。4.考察学術的な多様性や発展性を有する提案が研究事業として採択されるが、実施時は患者情報の院外持出について倫理審査とシステム運用で厳密かつ制約的な扱いが必須となる。各大学の運用方針にも差異があり、それら両立させるシステムと研究運用のノウハウを、医療情報システム管理の観点に立ち、零から構築する必要がある。