Japan Association for Medical Informatics

[2-K-4-1] 決定木分析を用いたクリティカルインディケーター抽出手法のシステム化へ向けた検証

草野 有希1, 村木 泰子2, 岡田 靖士1 (1.日本電気株式会社, 2.国立看護大学校)

【背景・目的】診療プロセスの標準化を目的としてクリニカルパス(以下、パス)と呼ばれる医療の工程管理が普及している。特に最終アウトカムと関連性の強い中間アウトカムはクリティカルインディケーター(以下、CI)と呼ばれ、治療方針変更、退院調整の観点で重要な指標とされている。CIを選定するため、パス分析担当者によってバリアンス分析が実施されている。しかし膨大な過去データから最終アウトカムと因果関係のある中間アウトカムとそのバリアンスを探し出す必要があり、パス分析担当者の大きな負担となっている。本研究では、収集したパスデータからCIを統計的に抽出する手法を構築し、システム化を目標に検証を行った。 【検証方法】・CIを統計的に抽出する方法は、目的変数と因果関係のある説明変数、閾値を抽出可能な「決定木分析」を使用した。・実データを基に研修用に作成した胃癌全摘出術パス(設定在院日数12日間)20症例のアウトカムとバリアンス記録をテストデータとして、退院予定日への影響度の検証を行った。 【中間結果報告】・2つのアウトカムをCIとして統計的に抽出することが出来た。1.術後日数1日目「循環動態が安定し、血圧が80mmHg以上でバイタルサインが安定している」アウトカム未達成の場合、50%で退院が延長する。2.術後日数2日目「疼痛コントロールができる」アウトカム達成の場合、80%が予定通り退院できる。 【考察と今後の展望】決定木分析を使用することで、短時間で複数のCIを統計的に抽出することができた。今後は、サンプル数を増やし実データでの検証と抽出されたCIの精度検証を実施し、パス分析手法のひとつとしてシステム化を検討していきたい。