[2-K-4-5] 検索語を取得できないアクセスログを活用した病院Webサイトの閲覧モデル構築手法の開発
【背景と目的】近年、医療機関Webサイトが、患者の医療機関選択時の情報源となっている。そのため、医療機関は市民のニーズを反映した情報提供を行う必要がある。しかし、医療機関Webサイト、特に放射線関連Webサイト情報を閲覧する市民の閲覧行動は明らかになっていない。この原因として、閲覧意図を表す検索キーワードが取得できないログが多くの割合を占めることが挙げられる。そこで、本研究では、共起ネットワークを用いて放射線関連キーワードをクラスタリングし、それぞれのクラスターの特徴を求めることで、キーワードを取得できない閲覧行動の閲覧意図を推測することで、より精度の高い閲覧行動モデルを構築することを目指した。【方法】2016年9月1日から2017年8月31日までの北海道大学病院Webサイトのキーワード取得状況をGoogle Analyticsを用いて調査し、ログを抽出した。次に、検索キーワードが取得できた899件のセッションデータの検索キーワードを用いて共起ネットワークを作成し、ネットワークの形状等から閲覧行動のクラスタリングを行った。閲覧行動のログ情報を用いて、クラスター番号を目的変数、閲覧ページ、ページデプス等を説明変数とした数量化Ⅱ類による要因分析を行った。分析により得られた判別モデルより、検索キーワードが取得できていない17,878件のセッションデータを閲覧ニーズごとにクラスタリングし、ベイジアンネットワークを用いて閲覧行動の可視化を行った。【結果と考察】Webサイトのキーワード取得率は11.4%であり、従来の分析は限定的な分析であることが明らかになった。閲覧意図に合わせて5つの閲覧行動に分類でき、判別率は64.3%であった。この判別モデルより各クラスターの閲覧行動を表したベイジアンネットワークモデルが構築され、放射線治療・PETのモデルでは検索キーワードが取得できたデータより作成したモデルと同様の傾向が観察され、より詳細な閲覧モデルの推測を行える可能性が示唆された。