一般社団法人 日本医療情報学会

[3-A-4-3] クリニカルパスデータ標準化と標準データモデル

若田 好史 (九州大学病院)

 日本クリニカルハ゜ス学会では、2011年にアウトカムマスターの標準化のために基本アウトカムマスター(以下とBOM)が作成され、現在数多くの施設で導入、利用されている。BOMによりクリニカルパスデータの入力側からの標準化が図られることとなり、また2016年には医療情報委員会(旧電子化委員会)と標準化委員会(旧アウトカム部会)設置され、電子クリニカルハ゜スの標準化に関する問題を解決するための議論がより活発になっている。さらに2018年にBOMをHELICS協議会の標準化指針へ承認申請し、現在審議中である。
 一方、こうしたクリニカルパスデータ標準化の議論の高まりの中で、2015年には日本医療情報学会と日本クリニカルハ゜ス学会両学会の共同委員会が設立された。合同委員会では、4施設、4ベンダーの電子クリニカルパスをベースに、クリニカルパスデータの現状を把握、整理し、標準出力形式である標準データモデル案の構築に取り組んできた。
 BOMと標準データモデルはクリニカルパスデータ標準化の両輪で有り、これらを整備し精緻化することは、クリニカルパスデータを利用した診療プロセスの再構築や最適な診療プロセスを求めるための多施設間での効率的な解析において、欠くことの出来ないものである。
 そこで今回は標準データモデルの詳細やこれまでの合同委員会での取り組みや、それらを踏まえた標準データモデル案の構築について報告する。また今後の標準データモデルリポジトリーおよび解析基盤の構築に関する展望、さらにそれらの構築後のデータ利活用(多施設間比較や統合解析など)を含め標準データモデル実装がもたらすクリニカルパスの未来像についても言及する。