Japan Association for Medical Informatics

[3-C-1-6] 看護実践用語標準マスターを基にした形態素解析用辞書を用いた看護記録の分析に関する検討

青木 美和1, 横田 慎一郎2, 篠原 恵美子2, 今井 健1, 大江 和彦1 (1.東京大学大学院医学系研究科, 2.東京大学医学部附属病院)

目的: 本研究の目的は、看護実践用語標準マスター(以下、看護標準マスター)の活用および普及に向けた将来的な用語追加や機能拡張の提案のための探索的調査に用いるための、看護標準マスターを基にした形態素解析用辞書構築に関する検討を行うことである。さらに、看護標準マスターに含まれる用語が看護記録でどの程度使用されているか確認し、異なる記録様式の看護記録で比較することを目的としている。方法:本研究で対象とする看護記録は、東京大学医学部附属病院(以下、当院)における電子カルテ上の診療日が2014年2月1日~2014年2月7日である、電子カルテに保存された全診療科入院患者の、看護師が記載した経過記録とした。経過記録データ抽出には、当院で独自に構築しているSS-MIX2拡張ストレージ検索システムを用いた。本分析では、看護標準マスターに含まれる用語をユーザー辞書として使用した。看護標準マスターを基にした形態素解析用辞書に収載された語が経過記録に記載されている語の中に占める割合(以下、カバー率)を算出し、退院看護サマリーにおけるカバー率との比較を行った。結果:抽出された経過記録は17109件、患者数は1588人(内、男性836人)、平均単語数は77.7(標準偏差77.2)だった。診療科別にみると、平均単語数は、救急科が最も多く126.8、続いて眼科115.3、老年病科101.3であった。経過記録における全体のカバー率は、24.0%であった。退院看護サマリーにおける全体のカバー率は16.4%であり、経過記録における全体のカバー率のほうが高かった。診療科別にみると、カバー率は、救急科が最も高く27.9%、続いて女性科26.8%、血管外科26.6%であった。考察:今後、看護標準マスターを基にした形態素解析用辞書の表記揺れの対応およびパラメータの調整、調査対象のデータ抽出期間の検討や経過記録に存在するが看護標準マスターに含まれなかった語の分析を進めていく予定である。