Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-1] 「産後うつ」を和らげる積極的傾聴型AIエージェントの構築

浅田 智巳1, 竹村 匡正1, 大脇 万起子2, 中村 由美子3 (1.兵庫県立大学大学院 応用情報科学研究科, 2.滋賀県立大学 人間看護学部, 3.文京学院大学 保健医療技術学部)

【背景・目的】近年核家族世帯や母子世帯の増加、地域や公的機関、職場からの母親に対する支援体制も十分とは言えない状況があり、母親の育児ストレスが多岐にわたり増大していることを示す報告がある。その結果、母親がうつ病に罹患し、虐待や自殺などが発生している。一般的に産後うつの対応は積極的傾聴が重要であるとされ、多くの場合は積極的傾聴を行うことによりうつ状態を軽減することが先行研究で示されている。さらに、近年日本語による高精度な音声認識デバイスやサービスの普及が進んでおり、これらを応用することにより時間や場所を問わず産後うつをサポートするサービスが構築できると考えられる。本研究では産後うつの予防と軽減を行うことを目的として、音声対話型の積極的傾聴を行うAIエージェントを構築した。【方法】産後うつの母親らの会話音声データを取得し、これに対して自然言語処理や機械学習の手法を用い適切な応答パターンを学習した。さらに、音声対話可能なデバイスと適切な応答パターンを用い積極的傾聴型AIエージェントを構築した。具体的な産後うつの状況および、母親の持つ具体的な悩みについて、産後の母親の座談会などの音声会話データを取得した。これらの会話音声データに対して、助産師ら専門家を交え、産後うつのコミュニケーションモデルを構築した上で、傾聴対話システムにおいて発話を促す要素として先行研究で挙げられている「問い返し応答」等の自然な出現パターンを分析し、最適な応答パターンを機械学習の手法から選択する応答システムを構築した。【結果】今回構築したエージェントによって、母親らの会話音声データを取得・解析し、適切な応答パターンを選択することが可能になった。