Japan Association for Medical Informatics

[3-E-1-2] 統合マスタの構築後の経営支援でのデータ活用

西山 謙1, 山下 貴範2, 中島 直樹2 (1.九州大学病院 経営企画課, 2.九州大学病院 メディカルインフォメーションセンター)

【はじめに】 本院では電子カルテ・オーダーシステム、医事システム、部門システム(放射線、手術、内視鏡 )、物流システムなどの各システムのマスタメンテナンスを各部署が個別に行っていたため、管理が煩雑となり整合性が合わない事象が散見されていた。平成25年1月稼働の病院情報システムにおいて、システム間でマスタを横断的に管理する統合マスタを構築(第一報)し、統合マスタの品質管理(第二報)を行い、データ活用を試行した(第三報)。今回は、経営支援での更なる活用において報告する(第四報)。 【方法】 「診療科別」や「患者別」の収支データ以外に新たに「診療行為別収支データ」を対象として病院経営への活用を試みる。収入データは医事システムの保険請求データとする。支出データは電子カルテ・オーダーシステム、部門システムから診療実施データと物流システムの購入マスタを活用する。診療行為別では、診療科コードや患者IDのように1つだけとは限らないので、定義を決めてデータを選定する必要がある。今回は病院の収支データの中でも影響度の大きい手術部で実施した術式に限定して作成を行う。 【結果】 手術部で実施した796種の術式別の診療行為、薬剤、診療材料を把握し、収入データ、支出データを把握することができた。特に術式別の収支では、診療科別や患者別の収支データと組み合わせることで収支金額を把握し、これを手術部、診療科の医師に示すことで、経営改善の取り組みの情報共有が可能となった。更に、これらを病院経営に関連する会議や病院経営層にも認識を促すことで、病院経営への良い影響を及ぼすことが出来た。 【まとめ】 統合マスタを高い品質で管理し、診療行為別の収支データの病院経営への活用を可能とした。診療行為データをもとに診療現場と情報共有を行うことは、病院経営の次のステップを明確にできる判断基盤の一つである。また、「マスタあってのデータ」という認識も重要であり、今後も統合マスタを中心とした品質管理を継続することが重要であると認識している。