Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-7] ICD-11の機能からみたわが国への適用について

今井 健 (東京大学)

 2007年より改定作業が開始され、2018年6月にリリースされたICD-11は、当初計画されていた内容が全て達成された訳ではないがICD-10までとは異なり様々な機能的特徴が加わったものである。整合性を保った持続的更新・管理を容易にするためにレイヤ構造を採用しており、全てのコンテンツのプールである Foundation Component から、様々な目的に応じた粒度で実際の分類体系である Linearization Component を切り出す、また Foundation Component 中の概念を SNOMED-CT など外部のオントロジーと接続することで、体系の整合性を担保する、という基本的な方針を取っている。また、電子環境での利活用を前提とし、電子媒体での配布やオンラインでのコーディングツールの公開。さらに新しい章(伝統医学)の追加や分類階層体系内で複数の親(上位階層)の許容により辿り着きやすくする仕組み。また、必要な概念粒度を担保する機能としては、なるべく多くの例示病名を "index term" として含める方針や、エクステンションコード (X章) を用いた post coordination によって、詳細な概念粒度を表現可能とする枠組みなど様々な機能的特徴を持っている。本発表では、このようなICD11において導入された機能の側面から我が国への適用の際に課題となる点などについて考察する。
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