[3-F-2-2] 医療現場の実践知に基づくアラートフレームワークの開発
【はじめに】宮崎大学医学部附属病院(以下、宮崎大学病院)では、電子カルテを稼働して約10年分の診療情報を蓄積しており、診療情報が意味的に構造化されている。この蓄積された診療情報を診療支援に使うためにアラートシステムを開発することとした。本研究の目的は、アラートシステムを電子カルテに搭載することを可能にするアラートフレームワークを構築するとともに、知識のモデリング手法を明らかにすることである。【対象と方法】アラートシステム構築に必要な現場の実践知を引き出すために、宮崎大学病院で働く多職種の職員にヒアリングを行った。対象となる部署は、一般診療科、看護部、医事課、薬剤部の4部門とし、事前に予備的なアラートのフレームワークを作成し、ヒアリングを行った。また、ヒアリングの結果を基に、予備的なアラートのフレームワークをより詳細な構造に修正し、最終的なモデル構築を行った。【結果】今回のヒアリング結果を基に、4つの大項目((1)ヘッダー部、(2)前件部、(3)後件部、(4)メッセージ部)から成るアラートフレームワークを開発した。ヒアリングで得られた実践知の分析から、求められるアラートにはリスクの発生原因として4つのパターン((1)患者状態自体にリスクが含まれているパターン、(2)医療行為自体にリスクが含まれているパターン、(3)両社にリスクが含まれるパターン、(4)医療行為の連続性または随伴性が欠如するパターン)があった。【考察・結語】今回開発したアラートフレームワークは、設計項目を詳細に定義しており、データベースへの置換が容易であるため、電子カルテへの実装が行いやすい。1つの実例として(株)コア・クリエイトシステムの「カルテMan・Go!」へ実装された。