[3-I-1-4] みやぎ医療福祉情報ネットワークにおけるシステムリプレースとその課題
宮城県では、平成24年度より地域医療連携システム「みやぎ医療福祉情報ネットワーク(Miyagi Medical and Welfare Information Network:MMWIN)」の整備を進め、平成30年6月現在で、3億件の診療情報が蓄積され、情報共有の同意患者数も7万人を超えたところである。参加施設も800施設を超え、システムの利活用を図るための施策を行いながら運用している。導入から5年が経過し、宮城県の財政支援の下、システムの維持費削減、安定性の担保と利便性の向上のため、システムをリプレースすることになった。今回のリプレースでは、ハードウェアの更新に加えて、システムのスリム化および機能改善に取り組んだ。需要の低いサービスを廃止するとともに、複数存在していたビューアを集約することで、導入・維持費を削減した。SAMLやID-WSF機能を備えていた認証機能においては、各サブシステムとの接続に必要なインターフェースは維持したまま、内部処理を簡略化することで認証機能をスリム化し、費用を圧縮した。被保険者番号を用いた名寄せや診療情報の開示を柔軟にコントールする仕組みを新たに取り入れ、利用者の利便性の向上を図った。さらに、MMWINシステムの稼働統計情報やログ情報を可視化する機能を付加し、管理機能を充実した。センターのSS-MIX2ストレージサーバには、3億件もの診療情報が保管されており、効率的な処理する仕組みの確立が必要とされていた。SS-MIX2のインデックスデータベースとフリーソフトウェアを活用することで、膨大な件数の診療情報を用いているSS-MIX2をベースとするシステムにおいて、稼働情報の提供や遠隔地への「リアルタイム」バックアップを実現した。現行システムから新システムへの切り替えに際しては、2日間のシステムを停止し、いくつもの課題を抱えながらもシステムを移行した。本稿では、上述したMMWINのシステムリプレースの詳細とその課題について報告する。