Japan Association for Medical Informatics

[3-I-2-5] Web討論における受講者の特徴とテクニカルトラブル対応に関する考察 ~指導医を対象とした医学教育学プログラムを中心に~

谷 昇子, 及川 沙耶佳, 錦織 宏 (京都大学大学院医学研究科 医学教育・国際化推進センター)

【背景・目的】京都大学医学教育・国際化推進センターが2015年4月より開講した「現場で働く指導医のための医学教育学プログラム―基礎編」は、全国の臨床研修病院等に所属する指導医を対象に、年3回の対面型授業と月2回の遠隔授業で構成される。本プログラムでは、全124時間のうち40時間を遠隔授業によるWeb討論が占めている。医学・医療者教育の場でさまざまな情報通信技術(ICT)を活用する際、ICTリテラシー教育の重要性が指摘される一方、円滑なWeb討論の実現に必要となるテニカルサポートに言及した報告は十分とはいえない。本稿では、遠隔授業におけるWeb討論をリアルタイムで監視するテクニカルサポートの立場から、受講者の特徴と陥りやすいトラブル内容について整理し、その結果について報告する。【方法】本プログラムのWeb討論では、Cisco社製WebExRを採用している。対象は2015年度から2017年度までの受講経験者36名(12名/年度)で、各受講者は遠隔授業開始前に、4月の対面型授業で初回接続テストを実施し、主に利用する機能・動作確認を行った。【結果・考察】3年間に渡ってテクニカルサポートを行った結果、初回の機能・動作確認時に見られる受講者の特徴が、トラブル対応時の判断要素として役立つのではないかと考えられた。受講者が機能・動作確認した際、おおむね①ICTリテラシーが高めで自主的に確認するタイプ、②講師の口頭説明に沿って確認するタイプ、③講師または①②の受講者による補助を得ながら確認するタイプに分かれた。タイプ①はトラブル発生時に実際の接続環境が把握しづらい一方、タイプ②③では本プログラムが推奨する環境下でテクニカルサポートと連携しやすい傾向にあった。この点から、ICTリテラシーレベルの高さが、必ずしもWeb討論時の迅速なトラブル対応に繋がるとは限らず、今後、各受講者の特徴に沿った傾向と対策を整理する必要性が考えられた。