Japan Association for Medical Informatics

[3-J-2-4] 電子模擬カルテを用いた看護情報二次利用教育の評価

中西 永子, 高見 美樹, 石垣 恭子 (兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)

多くの病院で電子カルテが導入され、看護業務の効率化や情報共有のツールとして活用されているが、看護情報の二次利用を含んだ看護研究の実践は難しい状況にある。電子カルテデータを二次利用するためには、二次利用を前提としたシステム構成、必要なデータを構造化データとして蓄積するためのコンテンツ作成、蓄積したデータの抽出作業が必要である。現在、看護情報を専門とする看護師は少なく、看護情報の二次利用について教育機会は少ない。また、稼動している電子カルテを用いて看護情報の二次利用について教育研修を行うことは様々な制約があり、看護情報の二次利用を含んだ看護研究進展の阻害になっている可能性が考えられる。本研究では、教育用電子模擬カルテをWebアプリケーション(Ruby on Rails)で作成し、看護に関する情報閲覧と、データのエクスポートができる教育用電子模擬カルテを作成した。教育用電子模擬カルテを使用して、構造化データの蓄積、データの抽出、データの二次利用について講義と実演、簡単な演習を行い、看護情報の二次利用の理解度向上に効果があるのか、比較し検証することを目的とした。研究方法は、看護師の継続教育プログラムの一つである認定看護管理者研修ファーストレベル研修の過程で、『座学講義群』、『座学と演習群』の2群に分け、講義内容、資料については同じものを使用した。『座学講義群』は講義の聴講のみ行い、『座学と演習群』は、講義に加えて教育用電子模擬カルテより構造化データの作成、データの抽出の実演や、簡単な演習を行った。研修受講後にビジュアルアナログスケールを用いて看護情報の標準化、構造化データの蓄積、データの抽出、データの二次利用についての理解度、データの二次利用による看護研究への自信について調査を行った。アンケート結果についての統計解析ソフトを用いて記述統計を行ったので、その結果を報告する。