Japan Association for Medical Informatics

[3-J-2-5] 看護基礎教育において「看護情報学」が取り扱う学習項目と授業構成の提案

遠藤 良仁1, 中嶌 康二2 (1.岩手県立大学, 2.関西国際大学)

【目的】 これからの医療の情報化に対応した看護実践能力を獲得ができる看護基礎教育の要件として看護情報学教育が扱うべき学習項目を明らかにし、提案することである。【方法】 学士課程での学習目標の指標となる、文部科学省が策定した「学士課程においてコアとなる看護実践能力と卒業時到達目標」55項目(以下、文科省卒業時到達目標)、及び実践でのコンピテンシーの指標となる、厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」(以下、厚労省新人看護師GL)の基本姿勢と態度・管理的側面の情報管理の到達目標20項目、及び看護情報学教育で先進的であるアメリカから、アメリカ看護師協会が定める新人看護師に求められる情報能力(ANA情報能力)12項目をもとに、情報を取り扱う能力が関連する項目を抽出し、学生が看護過程に沿って学ぶ、勤務大学の看護情報学(1単位必修科目)の授業設計への適用を検討した。【結果・考察】 文科省卒業時到達目標からは「人間の尊厳及び人権の意味を理解し、擁護に向けた行動を取ることができる」など13項目が抽出された。厚労省新人看護師GLからは「看護記録の目的を理解し、看護記録を正確に作成する」など8項目の到達目標が抽出された。そして、ANA情報能力からは既習と考えられるコンピュータスキルを除く「Privacy/security」など5項目が抽出された。 抽出された項目をもとに全12コマ5ブロックの授業構成に整理した;①導入(看護師に求められる情報能力)、②患者情報の収集(病院情報システム、個人情報保護法と患者プライバシー保護、看護学生のための情報倫理アドバイス作成)、③医療情報の活用(EBP、オンライン上の看護資源、EBPを活用した看護計画ブラッシュアップ)、④患者情報の共有(医療の情報化と看護記録、看護記録作成、実習記録ブラッシュアップ)、⑤リフレクション(自身の情報能力の振り返り)。 作成した授業構成は看護過程の展開に沿いながら、抽出した項目を全て学修できる点に意義があると考える。