Japan Association for Medical Informatics

[3-J-3-3] 同意情報の電子的記述に関する検討

田中 勝弥1, 山本 隆一2 (1.東京大学大学院医学系研究科, 2.医療情報システム開発センター)

[はじめに] 次世代医療基盤法の施行に伴って、オプトアウトによる患者同意に対する運用が広域で開始される。診療情報の2次利用における患者同意情報の管理、運用はEHR、PHRを含む医療情報基盤を安全に運用するうえで重要な要素であり、同意書情報を電子化し、SS-MIX2拡張ストレージへ格納し、 2次利用の際に同意情報を参照する方法が実装の選択肢として考えられる。本研究では、HL7 CDAR R2で規定される記述規格による同意文書情報の実現可能性について調査、検討した。[方法]  同意情報の記述様式として、HL7によるPrivacy Consent Directivesで規定される記述規格の調査を行い、いつくかのユースケースに対し、同規格を用いた記述表現を検討し、サンプル的に電子化表現を作成した。[結果] Privacy Consent Directivesは、ボディ部として、同意された利用目的、診療情報を利用する主体者、同意文書の管理組織、同意情報によって許可または制限される情報利用形態、対象とする情報や利用者の範囲、同意の根拠となるプライバシーポリシー、情報提供される利用者の義務、同意撤回、などの、診療情報の一次利用、二次利用場面における患者の同意文書の記述に対し、広範囲の表現が可能であった。対象とする診療情報の指定も可能であるが、指定した疾患情報と標準化ストレージ側のデータを関連させる場合には、一定のルール化が必要であると考えられた。同意文書紙面自体は、スキャンしたファイルデータをHL7 CDA文書内に転記することも可能であり、医療機関でのスキャン運用との親和性も高い。[おわりに] 同意情報の電子的記述について、Privacy Consent Directivesの記述規格は、広範囲のケースに対応可能であることが確認できた。多く医療機関で実施されている同意書紙面のスキャン保存と連携する場合のシステム運用も含めた検討を進めたい。