Japan Association for Medical Informatics

[3-J-4-4] 視覚障がい者にも晴眼者にも使い易い医療機関Webページに求められる情報項目と機能

田中 武志1, 氏間 和仁2, 木内 良明1,3, 奈良井 章人1, 池内 実1, 藤田 利恵3, 津久間 秀彦1 (1.広島大学 病院, 2.広島大学 大学院教育学研究科, 3.広島大学 大学院医歯薬保健学研究科)

【はじめに】医療機関のWebページは障がい者にとって貴重な情報源であるが、特に視覚障がい者は読み上げソフトウェアによる音声情報に頼ることが多い。音声によるWebページ閲覧は、①HTMLファイル上の記載順序により情報の提示順序が一意になること、及び②タグ付けされた見出し語句を強調すると共に情報をスキップする際の目印にすること、の2つの点で晴眼者の閲覧とは大きく異なる。更に国立大学病院Webサイトに対する調査結果によれば病院毎にWebページ上の情報項目の提示順序と用語にかなりバリエーションがある為、特に視覚障がい者の混乱を招き易い。誰もが使い易い医療機関Webページを作成する為に、本研究では特に操作と理解し易さに大きく関係する①の最適解を得る為、利用者の需要の高い情報項目と機能を調査した。【方法】20歳以上70歳以下で一人でWebが閲覧可能である、ロービジョン者・全盲者(以下、当事者)/晴眼者を対象とし、2017年7月から2018年3月の期間、電子メールによる選択・記述式アンケートを行った。対象者にWebアクセシビリティを考慮して修正した大学病院トップページと修正前のページを比較させた後で、病院Webページに必要と思う情報・欲しい情報、および機能(サイト内検索、文字拡大、配色変更、言語切替)の要/不要について質問を行った。【結果】当事者8名、晴眼者29名から回答を得た。当事者・晴眼者共に、病院へのアクセスや受付時間・診療時間の要望が多く、また機能についてはサイト内検索と文字拡大の機能の要望が多く、それぞれ半数以上あった。【考察】要望を分析すると受診に関する情報の需要が多い。それらの情報項目や機能をHTMLファイルの上位に配置することで、当事者・晴眼者が共通に且つ大きな不便無く利用できる医療機関Webページが作成できると考える。Webアクセシビリティ・ガイドラインが求める必須機能は言語切替のみだが、必要性を考慮してサイト内検索機能は出来る限り実装すべきであろう。