Japan Association for Medical Informatics

[3-K-1-1] 中央診療部門の新棟移転に伴うネットワーク整備とその課題

千葉 雅俊1, 中村 直毅2, 田山 智幸1, 末永 洋子1, 中山 雅晴2 (1.東北大学病院 医療情報室, 2.東北大学病院 メディカルITセンター)

東北大学病院では、高度救命救急センター、集中治療部、手術部、材料部などの中央診療機能を集約した、地上5階、地下1階、延べ床面積約1万6000平方メートルの「先進医療棟」を平成30年5月にオープンした。当該部門の先進医療棟への移転に伴い、各情報システムを安定稼働させるため、論理構成および監視機能など既存ネットワークとの統合性を維持したまま、中央で統合的に運用管理ができる柔軟なネットワークインフラの整備を目指した。本稿では、中央診療部門の新棟移転に伴うネットワーク整備の概要について報告するとともに、今後の課題について述べる。従来、生体モニタのデータを扱う手術・重症システムや救急部門システムは、現場の近くにサーバやネットワーク機器を設置するのが通例であり、各部門でネットワークを管理されていた。そのため、無停電電源整備・運用のコスト、機器故障発生時の復旧遅延など、コスト面や運用面で大きな問題を抱えていた。そこで、部門管理となっていたネットワークを巻き取り、中央で一括管理できる構成とするため、既設のUTPや光配線を駆使することで、これらサーバを中央のサーバ室に集約するように構成を見直した。また、全ての情報コンセントをネットワーク機器に収容する形とし、遠隔からネットワーク機器の設定を変更するだけでポートアサインの対応が出来るようにした。各情報コンセントのスイッチへの収容においては、複数のスイッチに分散して収容するようにし、単一のネットワーク機器が故障しても、同一箇所の情報コンセントでネットワークが全停止しないように配慮した。実際の移転に際しては、各部門システムも含め大きなトラブルはなく、切り替えが完了し、安定運用している。移転作業の際に急遽生じたネットワーク変更の要望にも柔軟に対応することができ、本構成の有用性を確認した。一方、基幹ネットワークで故障が発生した際の部門システムベンダとの責任分界点や切り分け方法の明確化が今後の課題である。