Japan Association for Medical Informatics

[3-K-3-1] 北海道の将来における医療資源の適正配置 - 将来推計人口と推計傷病別患者数によるシミュレーション分析 -

谷川 琢海1, 藤原 健祐2, 西本 尚樹3, 大場 久照1, 小笠原 克彦4 (1.北海道科学大学保健医療学部, 2.日本医療大学保健医療学部, 3.北海道大学病院 臨床研究開発センター, 4.北海道大学大学院保健科学研究院)

【背景・目的】我が国の人口は既に減少傾向に転じており、地域としての生活機能、医療機能の維持ができるかどうか危惧される。限られた医療資源を効率的に分配することは、持続可能な医療提供体制を維持するために重要である。本研究では、北海道における将来推計人口と推計傷病別患者数に基づく医療施設の適正配置を明らかにすることを目的にシミュレーション分析を行った。【方法】2045年における将来推計患者数を2014年の患者調査による疾患別の推定患者数をもとに、2045年の将来推計人口と2015年国勢調査の人口の増減率によって市区町村別に算出した。平均移動距離を最小化する最適配置モデルによって分析を行い、解析には地理情報システムArcGIS 10.5 (ESRI Japan)を用いた。また、データは平成27年国勢調査、社会保障・人口問題研究所の将来推計人口、国土数値情報(国土交通省)の市区町村役場、ArcGIS Stat Suiteの推計傷病別患者数、Geo Suite道路網のネットワークデータをそれぞれ用いた。【結果】脳梗塞の外来患者数については、北海道全体で2014年には3,142人あるが、2045年には2,212人に減少することと推定された。2045年におけるシミュレーション分析の一例として、施設数を12として最適配置モデルによって病院を配置した場合、患者の平均移動距離は25.2km, 最大移動距離は179km,医療機関の最小患者数は25人、最大患者数は788人となった。この場合、9割の患者は60分以内に最寄りの医療機関に到着でき、188市区町村のうち76市区町村では60分以上の移動時間を要することになった。【考察】人口減少が進む地域では医療機能の集約が今後必要となり、ICT技術を活用した在宅医療や遠隔医療、救急医療の充実などの組合せにより、最低限の医療水準を保つことができる仕組みが求められる。