Japan Association for Medical Informatics

[3-K-3-2] インフルエンザ施設別発生状況における横浜市立中学校の学区域を利用した地図情報システムの試作

青野 実1, 野﨑 直彦1, 大久保 一郎1, 後藤 寛2 (1.横浜市衛生研究所, 2.横浜市立大学大学院)

厚生労働省では,インフルエンザ感染症の流行状況を把握するため,感染症発生動向調査(以下,NESID)を実施している。NESIDでは,定点医療機関やインフルエンザ施設別発生状況(以下,学級閉鎖等)からの情報を収集・還元して,感染症の予防に努めている。筆者らは,第37回医療情報学連合大会で横浜市立小学校の学区域を利用した,地図情報システム(以下,GIS)の試作について報告を行った。今回,横浜市立中学校の学区域を利用して,ESRI社製のArcGISを用いて,インフルエンザ感染症の流行状況を可視化したので報告する。従来から,学級閉鎖等の情報については,登録システムを用いて横浜市立小学校の学区域について試作していた。今回,登録システムに新たな機能を追加して,横浜市立中学校の学区域を利用して,その学区域内で発生した全学級閉鎖等の情報を,ArcGISへデータをアップロードするための仕組みを試作した。ArcGISの機能を利用してデータを集計し,8階層の色別によるポリゴンとして,地図上に可視化した。データは,各施設から報告された患者数について,登録システムのシート上に登録する仕様とした。また,NESIDとの整合性を図るため,同一週内で発生した同一施設においては,登録と同時に追加加算する仕組みとした。さらに,同一施設から週毎に報告がある場合も,初発の施設に時系列的にデータが登録され,それ以降の施設には,施設名をハイライトさせて識別できる仕様とした。従来通り,定点当たりの患者報告数(以下,患者報告数)については,ArcGISの地図上にグラフ化して,学級閉鎖等の情報と併記することにした。これにより,GISを利用して,患者報告数と学級閉鎖等の関連情報が,視覚的に分かり易く,一元的に把握することが可能となった。今回の登録システムでは,従来からの横浜市立小学校の学区域の情報も別シート上に同時登録されており,GISへのシステマチックな運用が可能となった。