Japan Association for Medical Informatics

[4-B-3-3] 我が国におけるICD-11フィールドトライアル―診断用語コーディングにおけるゴールドスタンダードの解析―

佐藤 洋子1,2, 水島 洋2, 緒方 裕光2,3 (1.防衛医科大学校, 2.国立保健医療科学院, 3.女子栄養大学)

ICD-11(国際統計分類第11版)フィールドトライアル(FT)では診断用語のコーディングであるラインコーディング(LC)とケースシナリオのコーディングであるケースコーディング(CC)が評価される。ICD-11FTのためのガイドラインとプラットフォーム(ICD-11Fit)がWHOより提供されたことを受け、2017年8月から9月にICD-11FTを実施した。日本健康情報管理学会、日本病院会の協力により全国の診療情報管理士378名が評価者としてICD-11Fitに登録された。LCでは診断用語298件が提供され、評価者はケースごとにICD-10とICD-11でダブルコーディングしたのち、難易度、コードの詳細度、コードの曖昧さについて評価した。コーディング時間は自動記録された。WHOよりゴールドスタンダード(GS, 標準コード)が提供された19件において、GS一致率、GSのコード数、評価項目、コーディング時間の解析を行った。ICD-11コードがGSと一致しているかどうかに影響している因子として、コードの数(Odds: 0.03, 95% Confidence interval: 0.03 - 0.04)、ICD-10コードの一致率(1.55, 1.22 - 1.96)、難易度(0.43, 0.28 - 0.65)、詳細度(1.91, 1.49 - 2.45)が同定された。ICD-10コードの一致率との関係についてはケースによる違いが大きく、「MRSA敗血症(1B46&MJ81.11, A41.0&U82.1)」ではICD-11が高く(31.2% vs 11.9%, p<0.001)、「尿路感染による敗血症(GS58.Z&MJ75.1, A41.9&N39.0)」ではICD-10が高かった(1.7% vs 16.8%, p<0.001 )。詳細な質的評価を行ったうえでのICD-11の臨床現場での適用性評価が必要であると考えられる。