[4-B-3-5] 自己組織化ソフトウェアによる医療データ処理と電子カルテへの応用の検討
Introduction 電子カルテシステムの使いやすい仕様・デザインは,運営している病院の規模,運営方法あるいは医師の好み依存しており,多様である.現在は,いくつかの開発・提供されているシステムから許容できるものを選ぶしか方法がなく,導入されたシステム内のデータ構造や内部処理は必ずしも各病院に最適化されていない.Method 自己と他の種類を識別し,自身で結合を選択するソフトウェア・エージェントを開発した.エージェントは,各医療データを保持して要求に応じて供給するもの(データプロバイダ)と,他のエージェントからのデータを処理して新しいデータに変換するもの(プロセッサ)がある.これらのエージェントを複数個準備し,ネットワーク上に配置する. 電子カルテからクエリ(データの要求)が出力されると,要求データがネットワーク上に存在する場合にはそのデータプロバイダが応答する.要求データがネットワーク上に存在しない場合には,要求データを別のデータから作る可能性を持つプロセッサが応答し,そのために必要とするデータをクエリとして要求する.これらの処理を,エージェントが自律的かつ再帰的に行い,自己組織化して処理することで,フレキシブルに要求データを供給する.Experiments さまざまな構造を持つ医療データに対してデータ自動生成能力を確かめた.クエリは XML 言語を用いて記述し,50例のクエリを試行した.全てにおいて,複数のエージェントが適切に自己結合し,必要な箇所にデータを埋め込んだのち,適切な構造化データを返した.また,手術ナビゲーションで記録されたデータを自動で処理できることを確認した.提案したシステムを使い,簡易に電子カルテをカスタマイズできることを確認した.Conclusion 要求されたデータ種に応じて,多数のデータ処理ソフトウェア・エージェントを適切に自己結合させ,データを処理するシステムを開発した.さらに,電子カルテシステムへの適用可能性を確認した.