Japan Association for Medical Informatics

[4-B-3-7] EHRと連携した多施設横断共通検査結果マスター突合システムの構築

粂 直人1, 鈴木 賢治2, 小林 慎治1, 吉原 博幸1, 荒木 賢二3 (1.京都大学大学院医学研究科EHR共同研究講座, 2.株式会社エスアールエル, 3.宮崎大学附属病院医療情報部)

EHRにおいて患者の検査結果を多施設横断的に閲覧したい場合,それぞれの病院で管理されている検査結果項目を名寄せして一意なコードに紐づけておく必要がある.ところが,病院で管理されている検査結果コードはそれぞれ独自コードである場合がほとんどであることから,一意なコードを定義してそれぞれ個別に紐づけていく必要がある.一方,一意なコードの定義と病院独自コードへの突合は,それぞれ突合作業を行う検査技師等の判断に委ねられるため,機械的な突合は困難である.また,一意なコードを臨床的概念に基づいて定義し,共通検査マスターとして提供したとしても,病院で発生する新たな検査項目の追加に対して共通検査結果項目コードの更新が発生するため,接続施設が多くなれば共通検査マスターの最新版の維持は現実的に対応が困難な負荷となる.そこで本研究では,突合時の臨床概念のゆらぎを極力排除しつつ,複数の作業者が機械的に継続的な共通検査マスターの作成と維持ができる検査結果コード突合システムの構築を目的とする.従来から独自の共通検査項目コードを定義し,一定のルールのもとで病院の検査コードを紐づけていく手法を構築している.構築するシステムでは,医事コードをキーとして上位桁に配置し,下位桁に臨床的分類を配置する手法により,世代管理,検査方法といった詳細な検査概念の分類に陥らない方法による付番を実現する.また,EHRにて常時収集される最新の検査値をバッチ処理で参照することにより,初回の一括突合の後は,定常業務としてEHRから受領する検査結果から新規の検査項目を抽出して新たな下位桁コードを付番できるようにする.以上により,本研究では,EHRと連携しつつ共通検査結果コードを最新に維持する突合システムを構築した.本発表では,構築したシステムによる突合作業の運用について報告する.