Japan Association for Medical Informatics

[4-G-1-2] シングルボードコンピュータによる医学教育を目的とした生体計測の検討

松谷 秀哉1, 加藤 博之1, 大沢 弘2, 小林 只2, 米田 博輝1, 穐元 崇1 (1.弘前大学医学研究科, 2.弘前大学附属病院)

背景と目的これまで電子部品や機器などをパソコン(以降、PC)で制御には専用の機材や技術・知識が必要であり、容易に取り扱える状況ではなかった。しかし最近のシングルボードコンピュータ(以降、シングルボードPC)の登場によりこれらの状況は一変して、劇的にこれらの取り扱いが容易になった。今回、医学教育を目的としてシングルボードPCを用いた電子部品モジュール(心電計や脈波計)による生体計測について有効性を検討した。方法使用機器等は、Winodows PC、シングルボードPCはArduino、心電計モジュールはSparkfunのAD8232など、脈波計モジュールは秋月電子のNJL5501Rなど、配線基盤用はブレッドボードを用いた。プログラム開発には、Arduinoや電子部品の制御用にArduino IDE、GUIや波形データの出力・表示用にProcessing IDEを用いた。これらを授業(実験・実習)での使用を想定して、組み立てや制御、生体信号とデータの取り扱い、といった視点で評価した。結果各モジュールの組み立ては初回のみ多少の半田付けを必要とするが、それ以後はブレッドボードの使用により半田付けは全く不要で接続ケーブルの抜き差しのみで組み立てられる。そのため、組み立て、変更、分解が非常に容易で、繰り返しの利用が可能である。得られる信号波形は安定するまで多少時間を要するが基本的な波形は得られた。ただ、この波形データはノイズを含んだ生データである。なおArduino IDEとProcessing IDEとの連携もスムースで、簡単なプログラムで波形データをPCで表示や保存が可能であった。考察教育用途として見た場合、回路がシンプルで組み立てが容易、繰り返し使用や信号データの保存なども可能、価格も安い、など教材として多くの利点がある。一方で工学・回路を嫌う人も多い。そのため実施に際しては、工学が身近で医学・医療と緊密な関係(例えばノイズ処理)にある事を強調するなど状況に応じた工夫も必要と考える。