[4-G-3-1] NDBを活用した疾病分類別の将来患者数・医療費予測
【背景】人口が減少する一方で、高齢化や都市部への人口集中が予測されている北海道では、医療資源の配置計画を行う際に、各地域の将来的な患者像を把握する必要がある。我々は患者調査による疾患分類別受療数を基に、人口構造の変化が将来需要に与える影響についての分析を行ってきたが、調査の悉皆性の観点から予測の妥当性に課題があった。本研究では、医療計画の立案を支援するために、NDBレセプト情報を活用した医療需要の予測手法についての提案を目的とし、疾患別患者数・医療費の予測を行った。【方法】対象を北海道の二次医療圏(21圏域)とし、NDBレセプト情報から2014年度の医科・DPCレセプトデータ(国保・後期高齢者)について、年度内の同一患者を名寄せした上で抽出し、年齢階級別の「患者数/人口比」「医療費/人口比」を算出した。対象の疾患として虚血性心疾患・脳梗塞を例として、国立社会保障・人口問題研究所による将来推計人口から2025年、2030年、2035年、2040年、2045年と患者数と医療費の予測を行った。【結果・考察】北海道の患者数を抽出した結果、虚血性心疾患で158,459人、脳梗塞では167,792人であった。患者一人当たり医療費は虚血性心疾患で236,441円、脳梗塞で329,507円と脳梗塞の方が高かった。北海道全体の将来推計人口は2014年から2045年まで-25.2%単調な減少傾向であるのに対し、虚血性心疾患では2030年に患者数が172,464人(増加率8.8%)、医療費が40,777,506,952円(増加率:10.0%)まで増加し、2045年までは患者数が158,629人(増加率0.1%)、医療費が38,063,467,398円(増加率:1.6%)と減少していくと予測された。NDBから年齢階級別の患者数および医療費の人口比を算出することで、人口の増減だけではなく、年齢構造の変化や年齢別の医療費構造の影響を考慮した予測を行うためのパラメータを得ることが出来たと考えられる。