Japan Association for Medical Informatics

[4-J-1-2] 地域医療連携システムにおける診療情報のバックアップシステム

中村 直毅1, 井戸 啓介1, 中山 雅晴1,2 (1.東北大学病院, 2.東北大学大学院医学系研究科医学情報学分野)

宮城県では、東日本大震災の経験を経て、みやぎ医療福祉情報ネットワーク(Miyagi Medical and Welfare Information Network:MMWIN)を設立し、運用してきた。平成30年6月現在、800以上の施設が参加しており、診療情報は3億件が蓄積されており、情報共有の同意患者数も70,000人を超えたところである。MMWINは、参加施設の診療情報をセンターにSS-MIX2形式のファイルを集約・蓄積する集中型のシステムとして構成されており、平時には、地域医療連携システムとして、患者の同意に基づいて参加施設間で診療情報の参照・共有をしており、非常時には、センターに蓄積された診療情報を活用することができるバックアップシステムを備えている。そのため、MMWINのシステムでは、施設から提供されている診療情報の障害・災害などによって、損失されることから守るため、宮城県および地理的に離れた県外の2か所にS-MIX2ストレージをバックアップしている。蓄積されているSS-MIX2形式の診療情報は、 (a)センター設備が利用できる、(b)センター設備が利用できないがバックアップ設備が利用できる、(c)センターおよびバックアップ設備が利用できないという3つ(a)-(c)のケースに対応できるようにシステムを構成している。平時および非常時で利用するため、センターおよびバックアップセンターにおいては、SINETおよび商用ネットワークからなる冗長なネットワーク回線を配備している。さらに、インターネット回線を介して診療情報にアクセスできない際にも、オフラインでアクセスする仕組みを提供するため、SS-MIX2ビューアが搭載されたオフライン用のノートパソコンも配備することで、非常時にも診療情報を提供する仕組みを用意している。本稿では、上述した診療情報のバックアップシステムの仕組みについて述べるとともに、運用上の課題について議論する。