Japan Association for Medical Informatics

[4-J-1-4] ICTを用いた遠隔画像診断:夜間・休日・24時間の緊急読影対応

久島 健之1, 魚谷 健祐2, 濱中 章洋2, 山崎 愉子2, 田中 純子3 (1.兵庫県立淡路医療センター 副院長(医療情報部)・放射線科, 2.兵庫県立淡路医療センター 放射線科, 3.兵庫県立淡路医療センター 医療情報部)

【目的と背景】当院は画像診断管理加算2を算定し、読影医は当日と翌診療日までに9割以上の症例の画像診断レポートを報告している。以前には、夜間休日の画像検査は、翌日に読影され異常所見が事後に報告されることがあり、夜間休日の緊急の読影依頼の要請に放射線科医が出務することもあった。このため夜間休日においても、24時間対応可能な迅速な読影、それによる質の高い診療を提供するために、ICTを用いた遠隔画像診断の運用を開始した。【方法】院内に遠隔画像配信用server (Synapse ZERO)を設置し、IPSec+IKEで暗号化しVPN回線で画像dataを配信し、当院のPACS server(Synapse)の画像dataを画像参照端末から閲覧できるシステムを構築した。放射線科医は院外においても、緊急の読影依頼を受けると同時にタブレット型PCにて画像を閲覧し、画像所見を依頼医に電話にて説明する運用とした。【結果】2015年6月~2018年4月の35カ月で、CT767、MR8件の読影依頼があった。読影依頼時間帯の内訳は休日日勤帯268、平日休日の準夜が355、平日休日の深夜が152であった。依頼科は、救急科674、外科28、消化器内科18、脳神経外科9、内科8、循環器内科7件などであった。病態では急性腹症399、外傷153、脳神経51、心血管44、消化管出血22、autopsy image20件などであった。【考察・結論】ICTを用いた夜間休日の24時間対応の緊急読影を開始し、迅速な診断と治療方針の決定、見逃しや誤判断の回避など質の高い医療の提供に寄与できている。一方、放射線科医の業務負担増(週に5件程度の緊急対応)、システム整備・購入・回線開設の費用、運用維持のランニング費用などのcostが発生した。緊急遠隔読影は、あくまでも依頼医への口頭説明による1次読影とし、ダブルチェックを経て翌日に発行するレポートをもって公式な画像診断としている。