Japan Association for Medical Informatics

[4-J-1-5] 急性期病院における看護業務の効率性測定

岡田 みずほ1,2, 貞方 三枝子1, 丸山 幸宏2 (1.長崎大学病院看護部, 2.長崎大学大学院経済学研究科)

【はじめに】医療現場の業務密度は増しているにも関わらず、病床当たりの医師・看護職員の配置は、諸外国に比べ手薄な状況である。そのため、看護師の働き方や労働状況を詳細に把握するための看護師の業務量調査や業務内容、ワークフローへの社会的関心はますます高まってきている。しかし、正確な看護業務の現状を把握することは極めて難しいと言われてきた。今回我々は、急性期病院の看護業務の生産性(効率性)を可視化する目的で看護業務量測定結果に基づく包絡分析法を用いた効率性分析を実施した。【方法】平成30年3月5日から3月11日にA病院で実施した看護業務量測定結果(療養上の世話及び診療の補助に関する業務の割合)と、対象期間中の総入院患者数、超過勤務時間(看護師長除く)、重症度、医療・看護必要度評価の該当者数、看護師勤務者総数を入出力データとして、包絡分析法による解析を行った。なお、対象病棟は7:1入院基本料算定病棟とした。なお、解析にはDEA SOLVERを用いた。【結果】使用した5つの項目について解析を行った結果、看護師数に改善の余地がある部署が7/17部署(41.1%)、超過勤務時間縮減の余地がある部署が7/17部署(41.1%)、療養上の世話及び診療の補助業務の割合を増加させる余地がある部署が4/17部署(23.5%)、重症度、医療・看護必要度評価該当者の受け入れ数を増加できる余地ある部署が2/17部署(11.7%)、入院患者の受け入れ数増加の余地がある部署が3/17部署(17.6%)だった。最も効率値が高い部署と最も低い部署では1.7倍の差があった。【考察】今回は、看護業務を可視化する方法として頻用される業務量測定結果と診療データとして院内に存在するデータを組み合わせることで、病棟毎の看護業務の効率値を算出することができた。さらに、改善点を病棟毎に数値化することができるため病棟の特性に合わせて検討することが可能となると考える。