Japan Association for Medical Informatics

[4-K-1-3] 診療データの分析手法を共有するためのOpensource活用基盤の試み

寺本 圭, 近藤 博史 (鳥取大学医学部附属病院)

【背景】医療情報学の研究者らが考案した「方法」の多くは、学術論文として報告され、次の研究を発展させる材料となる。研究者が独自に開発したコンピュータ・プログラムが研究結果に影響を与える場合、学術論文中においては、プログラムをフローチャートで解説する場合が多い。しかしながら、別の研究者が学術論文のフローチャートを利用して、プログラムを再現し、研究を発展させることはコストの面から困難を伴う。著者らは、研究目的で開発されたプログラムのソースコードを研究者で共有することができれば、研究の再現が容易になり次の研究への有益な発展材料となると考えた。【方法】著者は、学術目的で開発したコンピュータ・プログラムを共有するために、インターネット上でコミュニティサイトを構築した(URL http://argana.tech )コミュニティサイト上で公開する学術領域を3つの分野に分類した。分類の種別は、「医学・医療情報学」、「生命科学」、「医療経営分析」とした。公開するプログラムの条件として、1)プログラムの公開が研究活動に含まれるもの、2)学術論文でソフトウェアの利用条件・動作環境を公開する予定があるもの、3)プログラムの提供者自身がプログラムの著作権を有するもの、とした。【結果】コミュニティサイトは、運用を開始した2018年3月1日~6月1日までの期間で、「医学・医療情報学」、「生命科学」、「医療経営分析」において、それぞれ1件ずつOpen Sourceによるプログラムの公開が行われた。Google Analyticsを利用した期間のホームページの利用者数は、122件であった。【考察】現在、公開されているプログラムの数は3本であり、学術論文での利用実績、プログラムの改修などは確認されていない。今後は、プログラムの拡充に加え、提供されたプログラムの取り扱いなどを整備する必要がある。公開したプログラムが多くの研究者によって改良され、目的となる分野の解析手法として用いられることにより医療情報学分野の発展に寄与することを期待したい。