Japan Association for Medical Informatics

[2-D-2-04] 持参薬の在院日数に及ぼす影響ーリアルワールドデータを用いた解析ー

山﨑 友義1、松尾 亮輔1、小川 泰右1、荒木 賢二1 (1. 宮崎大学医学部附属病院病院IR部)

Large Database, Real World Data, Bringing Medicine, Hospital Length of Stay

【目的】在院日数のコントロールは病院経営では重要である.今回我々は宮崎大学附属病院(以後当院)に蓄積された約12年間の大規模のリアルワールドデータより,持参薬として降圧剤の有無と在院日数の関係を統計学的に解析した.

【対象と方法】当院で行われた2006年5月より2018年3月までに高血圧の病名を付けられた11138例を対象とした.対象をDPC2桁毎の群とし,降圧剤の持参薬の有無による在院日数の解析をおこなった.各群で解析前に500例未満と四分位範囲法で在院日数の外れ値例を除外した.後ろ向き研究では,交絡因子を排除できない.今回は解析で優位差を認めた群ごとに性差,年齢(各群の平均年齢を基準),入院時の収縮期血圧,平均血圧(90,95,100)の4つを共変量とした傾向スコアマッチング(以後PSM)による背景因子のバランスを検討した.

【結果】有意差検定で有意差ありの群は呼吸器系,循環器系,眼科系,消化器系,内分泌系,筋骨系,腎・尿路系,神経系の8群あり,神経系以外は降圧剤ありの在院日数は短縮していた.他の群に有意差は無かった.特に呼吸器系の平均在院日数は9.4日と短縮している.PSMにより,在院日数短縮群で概してc統計量0.6未満,各共変量の群間の標準化差が0.1未満(絶対値)であった.

【結語】対象を降圧剤の持参薬の有無で,在院日数を検討した.持参薬ありで有意差を認めたDPC2桁の7群は在院日数が短縮していた.傾向スコアマッチングでは,c統計量が概して0.6未満と低いことから設定した共変量で2群を良く識別できなかった.そのため,今回設定していない共変量を検討する必要がある.DPC14桁群での解析では在院日数が長くなる群もある.本研究より在院日数の説明変数に持参薬が重要となることを示唆できた.大規模なリアルワールドデータを用いてDPC14桁毎で持参薬と在院日数の研究が今後の課題である.