Japan Association for Medical Informatics

[2-F-1-02] 地域医療介護連携ネットワークの相互運用性の実現に向けたデータ構造の課題抽出の調査

島川 龍載1,2,3、秋山 祐治2、山口 雅子1、鈴木 英夫3、西田 在賢1 (1. 県立広島大学, 2. 川崎医療福祉大学, 3. 一般社団法人SDMコンソーシアム)

SDM, SS-MIX2, EHR, Interoperability, Data Structure

【1. 背景】県や地域単位で地域医療介護連携ネットワーク(以下、連携ネットワーク)の構築が進んでいるが、施設参加率が低く、情報アクセス回数が少ないなど、参加と利用に関する課題がある。現在、広島県と岡山県では、それぞれの県での連携ネットワークをVPNで繋いでいるが、データ交換は実装されていない。今後、異なる連携ネットワークの相互運用性を高めることで、普及の一助になるものと考える。

【2. 目的】広島県と岡山県の連携ネットワーク内のデータ項目の違いを考察し、相互運用性の確保と普及に向けたデータ構造の課題抽出を行う。

【3. 方法】連携ネットワークの医療データの充足状況を把握するため、一般的な連携ネットワークのデータ項目(SS-MIX2標準化ストレージ)を医療データモデル(SDM:SemanticDataModeling)の定義にマッピングしたときに、SDM定義がどれほど充足するか(充足率)の調査を行う。さらに、連携ネットワークのデータベースのテーブル定義を比較することで、データ構造の違いを考察する。

【4. 結果】SDM定義に対するSS-MIX2の充足率は20~30%で、電子カルテ各社の充足率が60~80%であることを考えると、十分な定義がされているとは言えない。また、SS-MIX2から抽出されたデータであっても、異なるネットワーク間でテーブル定義の違いが見られた。

【5. 考察】連携ネットワークは、利用アプリケーションに合わせて、データベースが構築されている。それらは、データの粒度や精度、頻度などにバラツキが生じており、データ活用のための相互運用性が損なわれる可能性が示唆される。今後、EHRの部分的データと患者QOLデータから構成されるPHRの普及を考えた場合、健康・医療・介護を統合した連携ネットワークのためのデータモデリングの開発が期待される。