[2-F-2-04] 疾患別機械学習モデルの管理を実現したシステム基盤の検討
Machine learning, Machine learning models management, Cloud technology, Container technology
札幌医科大学附属病院(以降、当附属病院)では、機械学習を活用した糖尿病治療における経口血糖降下薬の処方最適化に関する研究を進めているが、その他疾患に関する学習モデル作成の研究も順次検討している。このように、診療情報データの利活用に機械学習を適用することがさらに増加することが考えられるが、大学病院における全診療情報データをパブリッククラウドに展開することは、個人情報保護、レスポンス速度確保などについてさらなる検討を要する。よって、当附属病院を含めた医療機関において機械学習基盤を安価に構築可能であり、かつ将来性を考慮したシステム方式を考える必要がある。これらの要件を満たすためには、複数の疾患に関するデータセット、学習モデルを同時に実行可能なこと、他病院においても実現可能になるように汎用性が高いこと、構築費用が安価であること、今後のパブリッククラウドへの展開を見据えた構成であること、などが重要である。実現するにあたり、パッケージソフトではなく、複数のオープンソースソフトウェア(以降、OSS)を組み合わせて利用することを選択し、代表的なOSSとしては、コンテナ管理基盤にKubernetes、データ分析基盤にJupyterを導入した。Juypyter上にscikit-learn、TensorFlow等の現時点でデファクトスタンダードと考えられる機械学習フレームワークが動作する仕組みの導入を行った。その際、外部ネットワーク回線に繋がらない環境にてOSSを利用するため、独自のパッケージレポジトリを構築し、各種OSSの最新化が実現可能な仕組みを実現した。なお、本システムは、コンテナレベルにおいて互換性があるため、将来的には複数の学習モデルをパブリッククラウドへスムーズな移行を可能としており、さらに医療情報システムとのデータ連携も見据えたインターフェイスについても検討を進めている。