Japan Association for Medical Informatics

[2-P1-1-05] スマートフォンや拡大文字を用いた参照に対応した医療機関Webページの試作

田中 武志1、氏間 和仁2、奈良井 章人1、藤田 利恵3 (1. 広島大学 病院, 2. 広島大学 大学院教育学研究科, 3. 広島大学 大学院医系科学研究科)

User Interface, Web Accessibility, Low-Vision

【背景】大学病院などの基幹病院は診療から研究まで多様な役割を担っており、そのWebサイトには多種多様な情報が載っているが、小画面の端末で参照すると文字が見え難い大きさで表示される。また画面を部分的に拡大すると縦横の2次元のスクロールが生じ利用者の混乱の原因となる。若い世代の8割以上がスマートフォンを利用している今日、医療機関のWebサイトも対応すべき時が来ている。対応手段として、小画面端末の場合のみシングルページレイアウト(以下、SPL)を採用すれば、縦方向のスクロールのみで簡単に参照・操作ができる。画面と文字サイズのアンマッチの問題は、極端に大きな文字が必要な低視力や視野欠損のロービジョン者のWeb利用の場合にも起こる。標準的レイアウトのWebページの多くは、例えば50ptの拡大文字では正しく表示できないが、SPLでは表示が可能になる。

【目的】小画面端末による参照と拡大文字による参照に配慮した基幹病院向けWebページの実装モデルを試作する。

【方法】HTML5/CSS3を用いて病院Webサイトのトップページを作成した。標準的レイアウトのトップページを分割し、情報項目を適切な粒度に整理分類して各Flexboxに分割し見出しを付けた。更に小画面で参照する場合と拡大文字が使用可能なSPL用のCSSをそれぞれ作成し、JIS X 8341-3(障がい者高齢者向けコンテンツのWebアクセシビリティのガイドライン)のレベルAAに準拠させた。

【結果】iPhone、iPad、およびAndroid端末(Nexus)で横スクロールが殆どない表示が可能になった。27インチ・ディスプレイを用いたPC画面においては100pt相当に文字を拡大しても殆ど横スクロールをせずに参照できた。

【考察】拡大文字用画面はスマートフォンでも参照可能であり、端末設定に詳しくない高齢者の利便性向上に寄与できると考える。